三光丸事件とケースブック、勘所


かつて私達の法律事務所で取り扱っていた三光丸事件が、かねてより様々な経済法学者から判例評釈等の形で意見が出されています。三光丸事件は、独占禁止法に基づく差止請求を訴訟で争った事件です。
「ケースブック独占禁止法」においては、三光丸事件の作為義務と「著しい損害」の点をとらえ、Questionsとして問題提起されています。なるほど論点とすれば、そうなるのかとも思われます。
独禁法事例の勘所」では、三光丸事件の作為命令、地域制限、優越的地位、市場画定について簡潔にコメントが述べられており、興味深く拝読しました。
いずれもロースクール等で独占禁止法を事例を通して理解するための教材としては、大変有益なテキストであり、教科書をより深く理解することができる、と思われます。
そして、法曹実務家においては、一つの判決を理論や公取委ガイドライン、そして審判決例より批判、理解しつつ、社会に生起する生の事実の中から独禁法上の問題をえぐり出し、それに対する解決への道を指し示す実力を身につけて頂きたい、と希望するものであります。