価格カルテル‐刑事公判


 価格カルテルについて独占禁止法違反事件として、東京地方裁判所にて刑事公判が継続されています。
 被告人は、大手メーカーの営業担当部長や担当取締役です。社内においては、エリートコースを歩んんできた方々であろうと思われます。談合の刑事事件においてもそうですが、やはり業界のなれあい体質があるものと考えられます。
 カルテルが違法であることは分かっていながら、従前通りのカルテルを維持継続してきて、断れなかった。自社が単独で値上げを実施することは、たとえ原料価格の高騰があっても、シェアを他社に奪われはしないかとの不安から、他社と話し合って値上げを実施する構図が見えます。赤信号、みんなで渡れば怖くない、と言わんばかりかもしれません。
 この価格カルテルは、他社のリーニエンシーによって公取委の調査がはじまり、刑事事件となりました。赤信号を渡った本人が名乗り出て、他の共犯者のみが起訴されたことになります。
 「カルテルやめて、ホッとしました」との気持ちには実感がこもっていたと思います。
 そして、公取委の立入調査→刑事告発→地検特捜部の起訴と、マスコミの取材による家族の不安、会社からの懲戒処分等と、その失ったものは余りにも大きなものがあります。
 カルテル‐ご本人の心痛や葛藤は察して余りあるものの‐会社のためにやりました、決して私の利益は図っておりません、と公判で皆が述べる言葉が空しく聞こえました。