経済法学者との打ち合わせ


大学の経済法学者の方から独占禁止法に基づく差止請求事件について、事案の概容や判決の問題点等につきお打ち合わせをする機会を得ました。
独禁法に基づく差止請求事件については、仮処分申立事件や本案訴訟、示談交渉事件等、何件か担当し、判決や決定等を裁判所から得ています。
しかし、判決になった事例においても、学者の方々は様々な見地から判例評釈をなされ、理論的問題点等を指摘なされておられますが、ふとそのアプローチの仕方について不思議に思うことが何度かありました。
それは、従前の判例公正取引委員会のガイド・ライン等に照らして、この判決にはこういう問題があるのではないか、理論上この判決にはどういう問題があるか等の指摘はあるものの、生の事実へのアプローチが今一つ乏しい憾がありました。そこが、私達弁護士との相違と言えます。私達弁護士は、例えていえば、生の素材からこれをどう調理して裁判所に提出するかを考えます。そして、裁判所は、その調理されたプレートを見て、その良し悪しを判断します。さらに学者の方は、その判決を見て、その評釈をします。すると学者の方は、生の素材から随分と離れたところで、これを評価しようとされている感じもします。
今般、この若い経済法学者は、判決の前提となる生の事実を如何に把握し、取引の実態に迫るかを中心として、実に鋭い質問をされ、こういうアプローチもあるのだなあ、と感心させられました。