2009-01-01から1年間の記事一覧

三光丸事件とケースブック、勘所

かつて私達の法律事務所で取り扱っていた三光丸事件が、かねてより様々な経済法学者から判例評釈等の形で意見が出されています。三光丸事件は、独占禁止法に基づく差止請求を訴訟で争った事件です。 「ケースブック独占禁止法」においては、三光丸事件の作為…

薬事法改正と薬の販売方法

改正薬事法が6月から施行されました。 私達の法律事務所では、かねてより依頼者や顧問先の関係で、薬事法に関する相談や受任事件を取り扱っています。 特に薬の配置販売業については、長い伝統を有する販売方法であるだけに、「先用後利」の考え方は今も受け…

シンドラー社エレベータ事故の背景

東京地方検察庁は、7月16日、平成18年にシンドラー社製エレベータで高校生が死亡した事故について、同社元保守部長や保守点検会社の社長らを、業務上過失致死罪で在宅起訴した、との報道がありました。 この立件に際しては、エレベーターのメーカーと保守点…

クアルコムのNAP(特許非係争)条項に排除措置命令へ

アメリカの通信技術大手のクアルコム社に対して、公正取引委員会が、同社と日本の提携電話メーカーとの間のライセンス契約について、メーカー側からクアルコムに対して特許権侵害訴訟を提起できないとのNAP(特許非係争)条項を、不当な拘束条件付取引として…

クアルコムのNAP(特許非係争)条項に排除措置命令へ

アメリカの通信技術大手のクアルコム社に対して、公正取引委員会が、同社と日本の提携電話メーカーとの間のライセンス契約について、メーカー側からクアルコムに対して特許権侵害訴訟を提起できないとのNAP(特許非係争)条項を、不当な拘束条件付取引として…

差止訴訟への文書提出命令の特則の導入

独占禁止法の本年度の改正の目玉は、課徴金の適用範囲の拡大、罰則の強化、企業結合規制の改正等と思われますが、地味なところとしては、独禁法に基づく差止請求訴訟に文書提出命令の特則が導入された点が注目されます。 独禁法に基づく差止請求については、…

フランチャイズ契約とコンプライアンス

かねてよりフランチャイズ・チェーン(FC)をめぐっては、様々な法的問題が指摘され、私達の法律事務所でも主に独占禁止法の立場から相談を受けることが多くありました。 最近ではセブン・イレブンの見切り販売の制限が公正取引委員会から指摘を受けており…

月一回の判例勉強会

毎月一回程度、私達の事務所の弁護士と同期の他の事務所の弁護士、計7〜8名位で、重要な最近の裁判例についての勉強会を行っています。毎回、4名位の弁護士が判例時報等から重要な裁判例をピックアップして、レジメを作成し、これをレポートし、他の弁護…

キリンとサントリーが経営統合へか?

キリンホールディングスとサントリーホールディングスが、持ち株会社の統合を前提として経営統合の交渉をしている、との報道がなされました。 両社の経営統合によって、売上高は約3.8兆円、ビール事業と清涼飲料事業で国内シェアのトップに立ちます。 経…

国交省発注の公用車の管理で官製談合

公正取引委員会は、国土交通省が発注する公用車の管理業務について、日本道路興運、北協連絡車管理等11社の入札談合を認定し、総額約26億円の課徴金の納付を命令。 なお、公取委は、国交省職員の入札談合等関与行為も認め、国交省に対し、官製談合防止法に基…

ずわいがにとベニズワイガニ

ずわいがにとベニズワイガニ、一体何が違うの?とも思います。 ところが、これが結構違うようです。ずわいがには、越前がにに代表される高級品。これに対して、ベニズワイガニはそうでもない様です。この2種類は、卸値でずわいがにがベニズワイガニの約8倍位…

見切り販売を制限したセブン‐イレブン・ジャパンに対して、公正取引委員会が排除措置命令

セブン‐イレブン・ジャパンは、加盟店に対して優越している地位を濫用(乱用)して、加盟店がデイリー商品を見切り販売することを制限したことを、独占禁止法違反と認定して、排除措置命令を出しました。 公取委の排除措置命令書を読むと、加盟店基本契約に…

航空自衛隊、オフィス家具入札で談合か

まだあったのか、入札談合。しかも、天下り→官製談合の疑いも。 公正取引委員会は、航空自衛隊が発注するオフィス家具等の入札につき、談合の疑いで、イトーキ、内田洋行、ライオン事務器、コクヨファニチャー、プラス、岡村製作所等に立ち入り検査に入りま…

経済法学者との打ち合わせ

大学の経済法学者の方から独占禁止法に基づく差止請求事件について、事案の概容や判決の問題点等につきお打ち合わせをする機会を得ました。 独禁法に基づく差止請求事件については、仮処分申立事件や本案訴訟、示談交渉事件等、何件か担当し、判決や決定等を…

独占禁止法が改正されました

規制を強化した独禁法改正が、6月3日に国会で成立しました。 改正のポイントは、課徴金の適用範囲を拡大し、排除型私的独占や不当廉売、優越的地位の濫用にも課徴金が科されることとなりました。 さらに、カルテルや談合の主犯格企業には課徴金が5割増となり…

東弁、独禁法部会にて発表

東京弁護士会の独占禁止法部会にて、「独占禁止法に基づく差止請求の実務」と題してスピーチしました。 平成13年施行の独占禁止法の改正により導入された「独占禁止法に基づく差止請求」は、施行後8年を経ても認容判決が未だに一件も出ていません。 私達…

セブンイレブン−見切り販売を制限か

セブンイレブンがフランチャイズチェーンの各加盟店に対して、お弁当や総菜につき消費期限が近付いたものを値段を下げて「見切り販売」することを制限した疑いで、公正取引委員会が独占禁止法違反(優越的地位の濫用)として排除命令を出す方針が示されたよ…

下請法の骨格と実務の運用

当事務所でも力を入れている下請法のホームページでの原稿がようやく完成し、近日中にHPへupされます。 下請法の主な骨格は、次の3つからなっています。1.下請法の適用対象の確定−具体的な取引内容と資本金要件によって決まってきます 2.親事業者の…

損害の値段−情報流出と不当表示

三菱UFJ証券の顧客個人情報が流出した問題で、同社は情報流出の被害を受けた顧客全員に1万円分の商品券を送ることとしました。 過去の裁判例を見てみると、インターネットプロバイダの顧客情報が流出した事例で一人あたり5500円の賠償金の支払いを命じたもの…

EU、クルス氏頑張ってますね!−EU:インテルに制裁金1400億円

EU、欧州委員会は、アメリカの半導体最大手メーカーのインテルに対して、EU競争法違反として過去最高額となる1400億円の制裁金を課す旨を命じました。 インテルは、MPUの販売では世界シェアの約8割を有し、競合他社であるAMDの製品を使用しな…

価格カルテル‐刑事公判

価格カルテルについて独占禁止法違反事件として、東京地方裁判所にて刑事公判が継続されています。 被告人は、大手メーカーの営業担当部長や担当取締役です。社内においては、エリートコースを歩んんできた方々であろうと思われます。談合の刑事事件において…

枚方談合事件で無罪判決

枚方市の談合事件で、刑法の談合罪で起訴されていた元副市長に対し、大阪地方裁判所は4月27日、無罪の判決を言い渡しました。 日本の裁判の有罪率は、ほぼ99.9%位といわれており、無罪判決はほとんど出ないというのが私達弁護士の常識となっています。 無罪…

日立冷蔵庫の不当表示−その3−ようやくの「お詫び」広告

日立冷蔵庫の不当表示について、メーカーからようやく「お詫び」の広告が出されました。これまでのHPでの広報などでは、商品の性能や品質には問題はないとのコメントが目立っていましたが、今回のお詫び広告では、近時の環境問題への関心の高まりの中で多…

日立エコ冷蔵庫の不当表示‐その2

日立アプライアンスの冷蔵庫について、公正取引委員会が景表法に基づきエコ表示が有料誤認表示に該当するとして排除命令を4月20日に出しました。 日立のホームページにおいては、カタログやウェブサイト、新聞広告、ポスターの表示が公取委から指摘を受け…

エコ冷蔵庫の不当表示

日立アプライアンスの製造販売した冷蔵庫は、「リサイクル材を活用」、「製造工程でのCO2排出量約48%削減」等と広告していましたが、実際はリサイクル材はごく一部にしか使用しておらず、又、CO2削減率も0〜数%にしかすぎなかった。公正取引員会は、こ…

カルテル課徴金270億円

公正取引委員会の発表によると、2008年度の談合やカルテルによる課徴金納付命令の総額が270億円余となったとのこと。 そういえば、最近は大型の価格カルテル事件への排除措置が目立ちます。少し前は、排除措置といえば談合ということが多かったと思い…

価格カルテルと被害の回復

最近、公正取引委員会による価格カルテル事件に対する排除命令をよく見るようになりました。 価格カルテルにおいては、事業者が意思の連絡のもとに販売価格の値上げをする事例が典型例です。 この価格カルテルが公正取引委員会によって認定された場合、公取…

下請かけこみ寺

JR新橋駅、京浜東北線と山手線のホームに「下請かけこみ寺」の大きなポスターが出ています。また、最近の新聞にも下請取引の適正化にむけた下請法の分野別のガイドライン等の全面広告が出ていました。 経済状況が悪化した中、親事業者から下請事業者への締め…